英語学習者
趣味と勉強を両立したい方にとって、洋書は理想的な英語学習ツール。
リーディング速度が上がったり、英会話フレーズをインプットできたりと、洋書多読はメリットばかり。ぜひ挑戦してみて下さい。
▶︎英語多読の教材を探している。
▶︎TOEICで高得点を目指している。
目次
1. 初心者におすすめの洋書4選
たしかに洋書はネイティブ向けに書かれているので、難易度が高い作品が多いのは事実。
しかし作品選びさえしっかりできれば、日本語と同じ感覚で洋書を読むことは十分可能です。
どれも初心者向けですが、レベル順に並べているので迷ったら1冊目から挑戦してみて下さい。
おすすめ洋書①『星の王子さま』
『星の王子さま』というタイトルから、SFファンタジーの物語だと勘違いされがちですが、実はかなり哲学的なお話。
主人公が、別の星からきた王子さまと出会い、惑星周遊の経験談を教わるというストーリー。
王子さまが出会った人たち
- 命令ばかりする王さま
- 大物気取りの男
- 酒びたりの男
- 実業家
- ランプに火を灯す人
- 地理学者
この6人の「変な大人」は、人が溺れがちなことや、人の欲求を象徴しています。
6人が象徴するもの
- 命令ばかりする王さま→「権力」
- 大物気取りの男→「人気」
- 酒びたりの男→「快楽」
- 実業家→「財力」
- ランプに火を灯す人→「労働」
- 地理学者→「学問」
おすすめの読み方として、それぞれの星の人を、自分ごとに置き換えて読んでみて下さい。
自分がどのタイプに当てはまるのか、見比べながら読むとより面白いです。
作中には平易な単語しか使われておらず、文章もシンプルで短いものばかり。
ページ数も96しかなく、読むのが早い人なら1日で読了できるので、洋書の入門に最適です。
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おすすめ洋書②『チーズはどこへ消えた』
作品に登場するのは、2匹のネズミと2人の小人。彼らは毎日迷路の中を走り回り、その日の食料を探しています。
ところがある日、幸運なことに迷路内のステーションCという場所で、大量のチーズを発見します。
ネズミは頭を使わないので、毎朝早起きし、家から走ってチーズのもとにやってきます。
一方で小人たちは賢く、ステーションCの近くに引っ越しました。そして毎日昼に起きてチーズを食べる、悠々自適な生活を送ります。
ところがある日突然、チーズが消えてしまいます。彼らが毎日食べていたので、少しずつ減っていたわけです。
それを知った彼らは焦ります。食べものがなくなっては死活問題。そこで2人と2匹は、全く違った手段でチーズを得ようと行動し始めます。
作品のテーマは「もし突然チーズがなくなったら、あなたはどう行動する?」という問いかけ。
また「チーズ」とは比喩で、人生における大事なもの。つまり幸せ・成功・豊かさのこと。
なので、より具体的に恋人・仕事・趣味など「自分にとっての大事なもの」に置き換えてみるのが、おすすめの読み方です。
内容はちょっと哲学的ですが、単語はやさしく、ストーリーも平易で読みやすい作品。
中学レベルの単語・文法を理解していれば、詰まることなくスラスラ読めるはずです。
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おすすめ洋書③『穴 ホールズ』
『ホールズ』の主人公・登場人物はみんな子ども。というのも、罪を犯した少年たちが集められる更生施設が作品の舞台です。
「人格形成のため」と称し、子どもたちは来る日も来る日も、大きな穴を掘らされ続けます。
しかしその「穴掘り」には、別の大きな目的が隠されていました。
いくつもの伏線が、物語の終盤に向けキレイに収束していくところが『HOLES』の醍醐味。
初心者向けの洋書で、ストーリーが1番面白い作品は間違いなく『ホールズ』です。
しかしネイティブの子供が楽しめる作品なので、語彙レベルは易しめ。
最低単語帳1冊インプットできている人なら、辞書なしでも十分読破できる難易度です。
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おすすめ洋書④『ワンダー』
主人公は、遺伝子の変異により、顔に障害を持って生まれてきた少年。
彼は、外見が普通の人とかけ離れているせいで、まいにち理不尽な目に遭います。
人から怖れられることを何よりも嫌う彼は、フルフェイスを被って学校に通うほど。
しかし心を閉ざしていた彼も、家族に支えられ、心優しい友人と出会うことで、少しずつ自分の容姿を受け入れられるようになります。
あらすじをまとめると、人と違うことで悩み、コンプレックスを抱える少年が、周囲に助けられ成長していくストーリー。
障害をもって生まれた主人公と、その家族の苦悩がかなりリアルに描かれているので、最初は読むのに少し勇気がいります。
ページ数は320ありますが、単語レベルはアメリカの小学生向けに設定されているので、非常に読みやすい作品。
TOEIC700点ぐらいの英語力があれば、1ページあたり、知らない単語が1,2個出てくるぐらいの難易度です。
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【関連記事①】おすすめ単語帳10選
これ以降はすべて中・上級レベルの洋書。単語のインプットが不十分なまま読み始めると、必ず挫折します。
なので、もし単語に自信のない方は、こちらの記事を参考にして語彙力を鍛えて下さい。
2. 中級者におすすめの洋書3選
中級者向けのおすすめ洋書を3冊ご紹介します。
おすすめ洋書⑤『ノルウェイの森』
まず中級レベルの1冊目は、言わずと知れた『ノルウェイの森』の洋書版です。
作品のテーマは生と死。親友の自殺をきっかけに、主人公が「死」について深く考えていく物語です。
また主人公が、その親友の彼女と恋に落ちて物語が進んでいくので、半分哲学、半分ラブストーリーのような内容。
村上作品はストーリーの起伏が少なく、その代わりに、登場人物の私生活がありありと描かれているのが特徴。
その代わり「△△さんみたいになりたい」「□□のキャラが素敵だった」と、人単位で魅力を語ることがほとんど。
主人公の、孤独だけど満ち足りた生活が、不思議な力によって徐々に捻じ曲げられていく。
それを独特の文章リズムで覗き見れるのが、村上作品の特徴であり、醍醐味でもあります。
村上春樹にハマる人
- 1人でいるのが好き
- 考えることが好き
- 質素だけど満ち足りた生活が憧れ
つまり上記のような人は、主人公に自分をバッチリ重ねられます。これが、村上作品が世界中で読まれる1番の理由。
そして特に『ノルウェイの森』がおすすめなのは、そんな村上作品独特の「世界観」がもっとも象徴的に表れている作品だから。
そして『ノルウェイの森』の英語版は、村上春樹の文体を一切損なうことなく、巧みに英訳されている作品です。
それもそのはずで、村上氏は幼少期から海外文学にどっぷり浸かって育ちました。
彼の文体が英語から影響を受けているため、英語に訳しても自然な文章になるというわけ。
単語も文章も難しくないですが、なにより文章のリズムが綺麗で読みやすいのもポイント。
日本の小説に慣れている方なら、よりスラスラ読めるはず。中級以上の洋書にチャレンジしたい方は、まずは『Norwegian Wood』からどうぞ。
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おすすめ洋書⑥『スタンド・バイ・ミー』
作者は「ホラーの帝王」と呼ばれるスティーブンキング。彼が書いた非ホラーの中で、1番人気な作品がこの『The Body』です。
アメリカの片田舎に住む4人の少年が、電車に轢かれた死体を探して冒険に出るお話。
まだ幼い彼らは「こんな自分たちでも、死体を見つけることができれば何かが変わるはずだ」と信じて旅立ちます。
『The Body』は、それを英語学習者向けに書き直した作品。特徴は、基本的な単語2,300語だけで書かれていること。
なので基礎レベルの単語帳を1冊覚えている方なら、辞書なしでスラスラ読める難易度です。
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おすすめ洋書⑦『月と6ペンス』
『月と6ペンス』は、実在するフランスの画家、ポール・ゴーギャンをモデルとして書かれた伝奇小説。
絵を描くため安定した生活を捨て、芸術によって名声を得た人物の生涯を描いた作品です。
主人公はロンドンに住む、40代の証券会社員。妻と2人の子どもを持ち、幸せな日々を過ごしていました。
そんな誰からみても「平凡な男」である主人公が、突然姿を消し、パリに渡って画家になります。
長年連れ添った妻子を捨て、そのことを後悔すらしない冷酷な男へと変貌した主人公。
しかし画家となった彼は、その風変わりな性格から、多くの人を惹きつける魅力的な人物でもありました。
ただ英語の難易度は高く、TOEIC900点取れる人が読んでも、知らない単語が1ページに3つは出てきます。
しかし文体がキレイで非常に読みやすい上、巧妙なストーリーのおかげで、どんどん前に進めるので安心して下さい。
ページ数も170と少ないので、洋書に慣れている方なら2~3日で読了できる分量なのもポイント。
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3. 上級者におすすめの洋書3選
では最後に、上級者向けのおすすめ洋書を紹介します。目安としてTOEIC860点以上がスタート地点。
この3冊は本当に難しいので、リーディングに自信がある方だけ挑戦して下さい。
おすすめ洋書⑧『ティファニーで朝食を』
ニューヨークを舞台に、自由気ままに生きる美女と、イケてない小説家志望の青年が惹かれ合っていく物語。
明るく無邪気な性格で、ミステリアスな雰囲気のホリー。荒削りなチャーミングさも合わせ持つ彼女は、男性からも女性からも憧れの的です。
そんなホリーに終始振り回されっぱなしの主人公。この構図でストーリーが進んでいきます。
ちなみに英語の難易度はかなり高く、上級レベルの登竜門となる作品です。
ぼくが初めて書店で『ティファニー』を手に取ったとき、表紙にはTOEIC730レベルと書かれてありました。
まず語彙が難しい。それにガチガチの文学作品なので1文がかなり長く、並の読解力では太刀打ちできません。
そこで大学2年でTOEIC860点・英検準一級のリーディング力に達したあと、再挑戦しました。
それでも1ページに知らない単語が3つほど登場しますが、Kindleの辞書機能に頼りながらなんとか読了。
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おすすめ洋書⑨『羊たちの沈黙』
ハリスの出世作であり、サイコホラーの傑作として世界中で読まれている『羊たちの沈黙』
IQ160を超え、心理学者としても世界的にその名を知られる、ハンニバル・レクター博士。
しかし彼の正体は、人を殺しその肉を食べることで快楽を得る「カニバリスト」でした。
『羊たちの沈黙』の主人公は、20代の女性FBI捜査官。とある連続殺人事件を追っていた彼女は、捜査に行き詰まっていました。
そこでレクター博士の知恵を借りるため、彼の独房を訪れるところから物語が始まります。
『羊たちの沈黙』は、トラウマや恐怖など、人間が持つ負の心理をうまく描きとった作品。
しかし映画だと、尺を2時間以内に納める必要があるため、肝心の心理描写にカットが多く入っています。
ただしサスペンス系の難単語が頻出するため、最低でも英検準1級レベルの語彙力が必要です。
加えて、レクター教授の「頭の良さ」を感じさせる婉曲的な言い回しが、慣れるまでは取っつきずらいかもしれません。
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おすすめ洋書⑩『グレート・ギャツビー』
主人公は、小説家志望の青年ニック。彼の家の隣には豪邸があり、そこでは毎晩のように豪勢なパーティが開かれています。
しかしニックには、悲しげな目をしたギャツビーが、豪華なパーティを楽しむような男には見えませんでした。
ギャツビーとは何者なのか、どうやって巨万の富を築いたのか、なぜ毎晩のように無意味なパーティを開いているのか。
『グレートギャツビー 』の著者はスコット・フィッツジェラルド。村上春樹の1番好きな作家としても有名です。
「村上氏が高校生の頃に読めたなら、自分でもイケるだろう」と思い、洋書版で読み始めた大学1年のぼくは、2ページ目で撃沈。
その後この洋書に再挑戦し、読了したのは2年後。TOEIC900点を超えたあとでした。
アメリカ古典文学の代表的な作品なので、技巧を凝らした、叙情的な表現が頻出します。
また単語も難しいものばかりで、英検準1級レベルの語彙力では太刀打ちできません。
さらに1文も容赦なく長いので、より簡単な純文学作品を読了してからチェレンジしましょう。
文章が簡単な『ノルウェイの森』や、ページ数の少ない『ティファニーで朝食を』のあとに読み始めるのがおすすめ。
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【関連記事②】速読のコツ7選
短時間で多くの作品に触れるためには、速読のスキルが必須。
こちらの記事で、ぼくが10年の英語学習で培った速読のコツを、8,500字で全てシェアします。
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洋書に本気で取り組みたい方には、紙ではなく、電子書籍での読書をおすすめします。
Kindleさえあれば、スマホ1台で24時間どこでも英語を多読できるので。
❷マーカーで色分け
❸音声読み上げ機能
❹書籍によっては値段が半額以下
❺読み放題作品が豊富
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