【英語長文】速読のコツ「スラッシュリーディング」の効果・やり方

「スラッシュリーディング」は英語を速読する上で欠かせないスキル。

英語を英語の語順のまま理解することで、英文を読むスピードを上げるのがスラッシュリーディングの目的です。

今回はスラッシュリーディングのやり方から、実践問題、おすすめ参考書まで紹介します。

谷村

こんな方に読んで欲しい
・英語の速読力に自信がない。
・TOEIC900点を目指している。
・趣味で洋書多読をしたい。

1万字近い文量ですが、これさえ読めばスラッシュリーディングについは全て理解できます

速読力を上げたい方は、ぜひ読んで行って下さい。

谷村

1.「スラッシュリーディング」=「英語の語順のまま読む技術」

スラッシュリーディングというのは、英文を「英語の語順のまま」読むための技術のこと。

もともとは、同時通訳者が英語を瞬時に理解するために使っていた読解技術

文字通り、英文にスラッシュ(/)を入れながら読むので「スラッシュリーディング」と呼ばれます。


具体例で見てみましょう。たとえば下の英文、どう読みますか?

You name one woman that you broke up with for an actual real reason.

 

①「ちゃんとした理由で別れた女性の名前を1人挙げてみて」
②「女性の名前を1人あげて。あなたが別れた。ちゃんとした理由で」

①は非常に綺麗に日本語訳。一方で②はなんだか違和感ありますね。日本語っぽくないです。

でも英語を速読するときは、圧倒的に②が正しい読み方。


英文を頭から読んでいっているので「返り読み」による時間のロスが一切ありません。

今日はこの記事を通して、この②の読み方を習得して欲しいんです。

僕自身英語始めたばかりの頃は①でしたが、スラッシュリーディングを続けてやっと②の読み方ができるようになりました。

谷村

つまり、綺麗な日本語訳を捨てて、英語を英語の語順のまま理解するために行うのがスラッシュリーディングというわけです。


ちなみに先ほどの文章、”You name one woman…“「あなたの名前は女性…?」と
こんがらがってしまった方は、速読の前に精読の練習をすべきです。

英文解釈をするだけで精読力はつきます。↓ぜひこちらの記事を参考にして下さい。

谷村

難関大合格者が選ぶ!英文解釈のおすすめ参考書4選【難易度順】

【COLUMN】記事の信頼性

僕の英語リーディングの経歴は、大学1年時に英検準1級、大学3年時にTOEIC930点を取得。

受験生のときには特に英語が難関と言われる大学に4つほど受かっています。

つまり「リーディングは得意なのでこの記事は信頼して下さい」ってことです(心の声)

谷村

2. スラッシュリーディングの効果

スラッシュリーディングの効果は以下の3つ。

2-1. 効果① 長文読解スピードが上がる

スラッシュリーディングは、英文を「英語の語順のまま理解する」ための技術。

返り読みをしなくて良くなるので、当然読むスピードが段違いに上がります。

ポイントは「目の動き」です。下の画像を比べてみて下さい。

谷村


左(水色)が日本語の語順で読んだ時の目の動き。右(オレンジ)が英語の語順のまま読んだ場合。

スラッシュリーディングで「返り読み」を避けるだけで、速読力は目に見えて上がります

確かに英語と日本語は語順が違うから、日本語の感覚で読むと返り読みを頻発してしまう…

2-2. 効果② 難しい文章が読める

難しい文章も短く区切ることで、シンプルで読みやすい文章になります

I can’t believe I’ve been here almost 3 minutes and you haven’t asked me how my date went.

「もうここに来て3分も経つのに、僕のデートがどうなったか誰も聞かないなんて信じられない」

この長い文章をスラッシュで区切ると…

I can’t believe / I’ve been here almost 3 minutes / and you haven’t asked me / how my date went.

「信じられない / ここに来て3分経った / 誰も尋ねない / 僕のデートがどうなったか」

①I can’t believe
②I’ve been here almost 3 minutes
③you haven’t asked me
④how my date went.

スラッシュで区切ることで、長い文章×1が、短い簡単な文章×4になりました。

長くて難しい文章を攻略するコツもスラッシュリーディングです。

2-3. 効果③ リスニング力が上がる

リスニングは「返り読み」が出来ません。なので当然、英語の語順のまま理解できないとアウト

一方スラッシュリーディングは、英語を英語の語順のまま理解するためのテクニックでしたね。

つまりリスニングでこそ生きるってことか!

それにスラッシュリーディングは、元々は同時通訳者の技術。大量の英語を高速で処理するためのテクニックです。

なので、リーディングよりも素早く英語を処理する必要がある「リスニング」でこそ生かせます。

「まずはリーディングで練習を積んで、リスニングに応用」の流れがおすすめ。

谷村

3. スラッシュリーディングのやり方

スラッシュリーディングの目的は文章の構造をクリアにすること。

文章を複雑にしている原因をスラッシュで区切り、読みやすくしましょう。

区切る場所は今から紹介する4箇所だけでokです。

谷村

3-1. スラッシュ箇所①「前置詞」「副詞」

前置詞は区切る対象としては一番簡単。でも文章が長いとややこしくなるので、積極的にスラッシュしましょう。

He went to school / about 20 minutes ago.
「彼は学校行ったよ / 20分前に」

I will come over / after the party.
「行くよ / パーティが終わったら」


3語以上の副詞句も文章を紛らわしくする原因。

”eventually”, ”really” など、1語のものは区切らなくても問題ナシです。

谷村

I was thinking about it / the whole day.
「そのことを考えてた / 一日中」

To tell the truth, / I need this / by the end of the day.
「実を言うと / これが必要です / 今日中に」

3-2. スラッシュ箇所②「準動詞(不定詞・動名詞)」

英語には「1文で使える動詞は1回だけ」というルールがあります。

しかし「to+動詞の原形」か「動詞+ing」の形にすると、動詞を2個以上使うことが出来てしまいます。

でも、動詞が2個以上あったらややこしいですよね?なので英文をシンプルにするため「準動詞」も区切っていきましょう。

「準動詞」というのは「不定詞, 動名詞」のことです。

谷村

A man / standing there / is my brother.
「男性 / あそこに立っている / 私の兄です」

He studies English so hard / to get a better job.
「彼は英語を一生懸命勉強している / より良い職に就くために」

下のように長くてわかりづらい文章でも、不定詞の前にスラッシュを入れればかなりクリアになります。

You are ready / to take risks, / to be vulnerable, and / to intimate with someone.
「あなたは準備できてる / リスクを取る / 傷つく / 誰かと関係を持つ」

3-3. スラッシュ箇所③「関係詞」

英文が長く、わかりづらくなるのは「関係詞」と「接続詞」が原因のことが多いです。


関係詞」と「接続詞」は2つの文章をつなぐ役割の品詞。なのでこれがあると必然的に文章が長くなってしまいます。

中学の英語は簡単だったのに、高校になると急に難しくなる理由はコイツらのせいだよね。
その通りだね!笑 でも関係詞は「who, which, where..」と形から一瞬でわかるから、反射的にスラッシュできるよ。

谷村

She is a girl / who came to my house / last week.
「彼女は女の子だ / 家に来た / 先週」

Osaka is the city / where I grew up.
「大阪は街だ / 私が育った」

My cram school, / which I barely go to, / will be closed / on New Year’s Eve.
「塾が / ほとんど行ってなけど / 空いてないらしい / 大晦日は」

3-4. スラッシュ箇所④「接続詞」

前述の通り、接続詞がつくと「文章が長くなりますよ!」というサイン。

“And”, “But” などを見たら、条件反射でスラッシュいれましょう。

You go / on three auditions a month / and call yourself an actor.
「行く / 月に3度オーディションに / 自分を俳優と呼んでいる」

He promised / to never lie again / but I don’t think / he’s going to keep it.
「彼は約束した / 2度と嘘をつかないと / でも僕は思わない / 彼が約束を守ると」

↑ “I don’t think” と “he’s going to keep it” の間にある、省略された「that」も接続詞


“I think / I guess / I suppose” など「自分の考え」を表す表現も、接続詞”that”を伴うので文章が長くなるサイン。ここも迷わずスラッシュです。

I guess (that) / it will be a long time / before I come back to Japan.
「思う / ずっと先になる / 日本に帰るのは」

同じ理由で、「コンマ(,)」や「コロン(:)」で文章が2文に分かれる時もスラッシュです。

 After I got to the airport, / we went shopping.
「街に到着したあと / 私たちは買い物に出かけた」

I have three kinds of pets / at home : / a dog, birds, and hamsters.
「3種類のペットを飼ってます / 家では / 犬と鳥とハムスター」

「コンマ(,)」= “and”,「コロン(:)」= “that is to say”。つまり、意味的には接続詞です。

谷村

4. スラッシュリーディングを実践してみよう

練習問題でスラッシュリーディングを実践してみましょう。

題材はCNNのニュース記事です。TOEICレベルの文章なので腕試ししてみて下さい。

4-1. 練習問題①「世界で最も雪の降る街」

Cited from CNN.

Aomori, Japan: Life in one of the world’s snowiest cities

Twenty-one feet of snow — enough to bury a two-story house. And then some.
That’s how much snow fell last year in Aomori City, in the northern Tohoku region of Japan. But it was just another winter in this coastal city that’s home to nearly 300,000 people.
Every year, this northern prefectural capital is pummeled by heavy blizzards and ice storms, making Aomori one of the snowiest major cities on the planet and an intriguing travel choice.
The extreme snowfall is caused by chilly Siberian winds that sweep into Japan from the northwest every November. As the cold air crosses over the warmer waters off Japan’s mountainous coastline, it gathers moisture, then rises and turns into snow.
And lots of it. Aomori City has received more than eight feet of snowfall already in the first months of this year.

スラッシュリーデイング実践

 

Aomori, Japan: Life in one of the world’s snowiest cities

Twenty-one feet of snow — enough / to bury a two-story house. And then some.
That’s / how much snow fell / last year / in Aomori City, / in the northern Tohoku region of Japan. / But it was just another winter / in this coastal city / that’s home / to nearly 300,000 people.
Every year, / this northern prefectural capital is pummeled / by heavy blizzards and ice storms, / making Aomori one of the snowiest major cities / on the planet and / an intriguing travel choice.
The extreme snowfall is caused / by chilly Siberian winds / that sweep into Japan / from the northwest every November. / As the cold air crosses / over the warmer waters / off Japan’s mountainous coastline, / it gathers moisture, / then rises and / turns into snow.
And lots of it. Aomori City has received / more than eight feet of snowfall already / in the first months of this year.

最初は書き込みながらでok。徐々に頭の中だけでスラッシュできるようになれば最高です。

谷村

4-2. 練習問題②「飛行機内での振る舞い」

Cited from CNN.

How to behave on an airplane

Longtime fliers know that look: It’s coming from the flight attendant who has already labeled you a Difficult Passenger.
Maybe you’re taking up too much space in the overhead bins or want to visit the bathroom while people are still boarding. Or you won’t shut off your cell phone the first time he or she asks. Or maybe you’re not doing anything at all.
As 109 high school seniors and chaperones learned Monday morning, flight attendants have the power to remove passengers from a flight if they’re not following directions — or if they think you’re not.
Many commenters on CNN.com’s Facebook page blamed the students. “The flight crew should not have to tell you to turn your phone off and sit down,” wrote one commenter. “I support the crew and making a safe flight for the rest of the passengers.” Wrote another: “Sounds like a lot of bratty kids would not do as asked. You need to do as instructed the first time. End of story.”
Boarding is not the time to stand out on an airplane.

スラッシュリーディング実践

 

How to behave on an airplane

Longtime fliers know that look: / It’s coming / from the flight attendant / who has already labeled you a Difficult Passenger.
Maybe you’re taking up too much space / in the overhead bins / or want to visit the bathroom / while people are still boarding. Or you won’t shut off your cell phone / the first time he or she asks. Or maybe you’re not doing anything at all.
As 109 high school seniors and chaperones learned Monday morning, / flight attendants have the power / to remove passengers / from a flight / if they’re not following directions — / or if they think you’re not.
Many commenters / on CNN.com’s Facebook page blamed the students. “The flight crew should not have to tell you / to turn your phone off and sit down,” / wrote one commenter. “I support / the crew and making a safe flight / for the rest of the passengers.” Wrote another: “Sounds like / a lot of bratty kids would not do / as asked. You need to do / as instructed the first time. End of story.” Boarding is not the time / to stand out on an airplane.


文章が難しく感じられた方は、こちらの記事を参考にして下さい。
リーディング力を効率的に鍛える手順をまとめています。

【暗記→精読→多読】初心者が英語リーディングを極める3ステップ

5. スラッシュリーディングのコツ

5-1. 区切る場所を考えすぎない

スラッシュリーディングの目的は、英語を前から読むことで読解スピードを上げること。

つまり速読が目的なのに「どこを句切ろうか」と考えすぎて、スピードが落ちてしまっては元も子もないです。

リーディングで大事なのはテンポ

自分が「ここで区切ったらテンポ良く読める」と思った箇所にスラッシュを入れていきましょう。

5-2. 徐々にスラッシュを減らしていく

慣れてきたら、徐々にスラッシュを減らしていきましょう。

速読が目的のスラッシュリーディング。区切りすぎるとテンポが悪くなり速度が落ちてしまいます

最初はスラッシュだらけでも全く問題ないですが、徐々にスラッシュの数を減らして一気に読めるよう心がけましょう

実際僕も、英語長文に慣れるまではページが真っ黒になるまでスラッシュいれてました笑。

谷村

6. スラッシュリーディングにおすすめの参考書

あとは今日紹介したやり方を実践するだけ。

でも「どうせアウトプットするなら、スラッシュリーディングの解説も入った参考書で練習したい」という方に向け、おすすめの参考書を3冊紹介します。

6-2. おすすめ参考書①『大学入試 英語長文ハイパートレーニング』

受験生には『ハイパートレーニング』がおすすめ。

レベルは「超基礎編」「センターレベル編」「難関編」の3段階です。

僕も受験生の時、速読用の教材としてお世話になったなあ。

解説が非常に丁寧なので、速読と精読の両方を同時にこなせます。

3段階のうちどれか1つ選ぶなら「センターレベル」がオススメ。難しすぎず簡単すぎず、速読にはちょうど良い難易度です。

谷村

6-2. おすすめ参考書②『英語スラッシュリーディング・トレーニング』

プロ通訳強化メソッド活用」という副題の通り、リスニングに特化した参考書

スラッシュで区切りながらのシャドーイング練習もできるので、スピーキングを強化したい方にもおすすめ。

ビジネス英語が多めなので、受験生よりも大学生や社会人向け。

谷村

6-3. おすすめ参考書③『究極の英語リーディング』

スラッシュリーディングを実践するために作られた数少ない参考書。迷ったらまずコレです。

TOEICで出題されるようなビジネス系の長文も頻繁に登場するので、社会人や大学生の方におすすめの参考書。


ちなみにアルクの『究極シリーズ(単語・リスニング・リーディング)』は全て「kindle unlimited」だと読み放題

『究極のリーディング』は紙本だと1冊1,800円なので、kindleで読んだ方が圧倒的にコスパ良いです。

谷村

7. あとは「多読」で実践あるのみ

あとは好きな題材を選んで英語を浴びるように多読するだけ。

洋書でもニュースでも、TOEICでも海外ドラマの英語字幕でも。自分が楽しめる題材を使って英語に毎日触れていきましょう。

スラッシュリーディングのやり方で迷ったら、またこの記事に戻ってきてくだされ〜!

谷村


洋書を多読したい方はこちらをどうぞ。
楽しみながら長文をこなせる最強の教材です。

【難易度順】ベストセラー洋書おすすめ10選【海外文学で英語を学ぼう】


TOEICに挑戦したい方はこちらをどうぞ。
忙しい方でもサクッと高得点取れる方法を紹介しています。

【TOEIC】参考書1冊だけで対策するなら「3回チャレンジ法」


当ブログの人気記事ランキングを作りました。

英語学習に役立つ優良記事だけを集めたので、ぜひチェックしてみて下さい。

【谷村ブログ村】人気記事ランキングTOP20【英語学習記事のみ】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です